無料のおもしろネタ画像『デコじろう』用アイコン02 宮本輝『森のなかの海』---2004/10/18   

読書感想文、今回のお題は森のなかの海 上・下

あらすじ

阪神淡路大震災を機に、36歳の希美子の平穏な人生も転機を迎えた。夫と姑の裏切り、離婚、家族に支えられながらの再出発。やがて、学生時代に知り合った老婦人、毛利カナ江から奥飛騨の広大な森と山荘を相続し、息子二人と移り住むことになる。さらにその山荘に、震災で家族を失ったかつての隣人の三姉妹、姉妹を頼って来た七人の少女たちを引き取ることに。ある日、カナ江にまつわる衝撃的な噂を聞いた希美子は、山荘の森にある巨木〈大海〉の根元から不思議な水差しを見つけた。なかには、一通の封書と、小さな骨が……。希美子はカナ江の謎に満ちた生涯を追う。(カバーより抜粋)


感想

久しぶりに読んだ宮本輝は、やっぱり熱かった! なんだか父親と話をしているみたいな気分でした。困難な状況を嘆いても、決して諦めてはいないんだ、っていう気持ちが伝わってきて、とても清々しかったです。

希美子の再生、カナ江の謎をたどる物語が軸になっているのだけれど、裏には“教育とはなにか?”というテーマがあるのだと思います。希美子は、少女たちの、震災や親に捨てられた傷が癒え、自分のやりたい事が見つかったら、自分の好きなようにすれば良い、出ていっても構わない、という態度をとります。あえて「強いる」ということも実践して、社会に出ても強く生きていける力を育てようとします。それこそがまさに「教育」「しつけ」なんだろうなー、と思います。希美子の姿を見せることによって「日本の教育問題」のひとつの解決策を提示しているのだと思いました。

様々な出会い、別れの中で、希美子自身も人生を再スタートさせていきます。文中、山荘の森の巨木<大海>を、
 「すべてを受け入れて動じず……」
 「すべてを包み込んで動じず……」
と表現しています。これを言い換えているのが
 「森は木を拒まない。海は川を拒まない」
という言葉だと思います。
まさにそれが希美子の目標なのだろうなー、と思いました。人間として究極の姿かもしれないですよね!? かっこいいなー。

まあ、ちょっと理屈をコネコネしてしまいましたが、飛騨の風景描写を読むだけでも、気持ちがスーッとします。まるで森林浴してるみたい(笑)。そしておいしそうな食べ物がたくさん出てくるんですよ。そういう小ワザが効いてるのも、楽しいです。
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by kazumi7311 | 2004-10-18 22:24 | Book

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