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無料のおもしろネタ画像『デコじろう』用アイコン02 潜入ルポ   

帰ろうとしていた時、直属の上司Kさんに呼び止められました。
(注)わたしが派遣されているのは、某出版社です。

Kさん「2〜3ヶ月で劣化するような本を作りたい、って副社長(兼営業部長)に言われたんだけど、そんなの聞いたことある? 例えば、文字が消えちゃう印刷とか……」
わたし「そんなの、聞いたことないですよ〜!」
Kさん「そうだよねぇ。でも結構、彼は本気っぽいんだよねー。T印刷に聞いてみて、って言われたんだよねぇ。」
わたし「でも、なんでそんな本、作りたいんですか?」
Kさん「新刊の古本屋への流出が激しいから、なんとか食い止めたいんだって。それで思い付いちゃったらしいんだよねー。」
わたし「えええっ! でもそんな本、大事に保存したい人にはどうするんですか?」
Kさん「文字が消えちゃう方は“廉価版”にして、それとは別に消えないのを“愛蔵版”として出す、って言ってたよ。」
わたし「もしそんな特殊印刷ができても、絶対に“廉価”にはならないですよねぇ。かなりコストがかかりますよ。」
Kさん「そうだよねー。ヤだな、T印刷に聞くの。。。」

……この話、自分の胸にしまっておくにはヘビーすぎて、まだ残っていた同僚に話してしまいました。
最初は大爆笑なんだけど、ちょっと経つと、寒い! 寒すぎる!
ドラえもんにのびたが「道具を出して」とせがんでいるのと大差ないし。
「ミッションインポッシブルかよっ!」というツッコミすらしたくない感じっす(^^;

ちょっと考えると、いっぱいいっぱい疑問が浮かぶのです。
まずは上の会話にもあるとおり、コストの問題。
特殊印刷は、相当お金がかかるはず。

それから、“廉価版”“愛蔵版”を出すのであれば、そんなヘンテコリンな“廉価版”の存在意義が全くない、ということ。
古本屋へは“愛蔵版”が流れるだけ、なんじゃないのかな?
そうすればせっかく出した“廉価版”の意味はないし。
“愛蔵版”という名前にして売り出す、ということは「値段をつりあげる」という可能性も大アリなわけで。
これじゃー古本市場は潤ったまま、新刊は売れなくなるということが目に見えてますよね。

CCCDの問題と同じで、買う側のことは全く考えていないわけですよ。
わざわざお金を払って手に入れたものが、2〜3ヶ月で読めなくなるなんて、買う側にしてみれば「ふざけんな!」と思うんだけど。
作っている本への愛情もなければ、買ってくださる読者の方への配慮も信頼も、全くないんだなぁ。
CCCDは「音楽データを違法にコピーするから新譜CDが売れない」という理屈でした。
新譜が売れないのを、買う側に責任転化しているわけです。
今回の「文字が消える本」というアイデアも同じ構造で、「古本屋で買う人が多いから新刊が売れない」という理屈なんですよ。
こんな理屈をこねているヒマがあったら、もっと“営業”としてやるべきことがたくさんあると思うんだけどなぁ。
在庫切れが多すぎるから、古本屋を利用せざるをえない、という部分もあるわけだし。
CCCDが無くなる方向に向かっている中、世間から取り残されている感が拭えません。

そして最大の問題が、取引先の会社に問い合わせる前に、ちょっと考えればこんなに疑問がでてくるような稚拙なアイデアを、なぜ誰も止めようとしないのか、ってこと。
会社の程度が知れて、今後の関係に響いてくるんじゃぁないのかなー?

……会社内部の恥ずかしいところは書かないでおこうと思っていたんだけど、このままでは眠れなくなりそうだったので、書いてしまいました(^^;
こんなことは日常茶飯事なんだけど、今日のは衝撃が大きかったよ。
潜入ルポは、できればこれで最後にしたいな。
とほ。

by kazumi7311 | 2005-03-09 01:08 | Daily Life

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